近年の物販系分野で存在感を放っているのが、EC市場です。その背景にあるのはインターネットサービスの質の向上であり、カスタマーサービスを支援するAIの登場なども考えると、今後も成長を続けていくことが想定されます。EC市場の拡大に伴い、荷捌き場やトラックターミナルの需要が急激に増えています。しかし、運送業界では荷役作業時の労働環境改善が課題になっており、荷捌き場やストックヤードに関して悩みを抱えている事業者も多いようです。
今回は、荷捌き場やストックヤードでよくある悩みを紹介し、これらを解決する有効な手段である「屋根の設置」について解説します。おすすめのソリューションも紹介するので、参考になさってください。
荷捌き場やストックヤードでよくある悩み
はじめに、荷捌き場やストックヤードにおける荷役作業でよくある悩みをみていきましょう。
事業者の方々はどのような悩みを抱えているのでしょうか。
保管物の劣化
荷捌き場やストックヤードで最優先されるのが、保管物の品質です。搬出する前に保管物がボロボロになってしまうようでは困りますよね。保管物の劣化については、以下のような要因が考えられます。
・雨・雪
・紫外線
・風
雨や雪は、保管物を濡らすことにより直接的な劣化要因になります。また、紫外線は、塗料の劣化や色褪せを促進するだけでなく、保管物の素材によっては耐久性を低下させる一因です。強風のときには枝などの飛来物が保管物に接触して傷をつけてしまうことがあります。大切な保管物の品質を守るには、外部環境によって劣化することのないように荷捌き場やストックヤードを整備することが重要です。
作業効率の低下や熱中症の危険性
荷役作業は、運送業界の生産性向上のキーポイントである一方で、安全性が重要視されているプロセスです。荷捌き場やストックヤードにおける荷役作業の生産・安全性については、以下のような課題があります。
・雨・雪で視界や足元が悪くなり、作業効率が低下し、事故のリスクが高まる
・悪天候で作業が中止になる可能性がある
・強い日差しと酷暑で熱中症のリスクが高まる
作業員が安全かつ効率的に作業するためには、良好な環境を用意してあげることが大切です。通常は作業しやすい環境でも、天候によって悪化してしまうこともあります。
また、世界的な温暖化の影響で、夏は酷暑が続くケースが増えています。地域によっては猛暑日を記録することも珍しくありません。過酷な暑さのなかでは、作業効率の低下に加え、不注意によるケガや熱中症のリスクが懸念されます。熱中症に関しては個人の対策が求められていますが、作業場への涼しい休憩所や庇の設置といった施設面の整備も大切です。
トラックやフォークリフトの動線を確保できない
雨や紫外線に配慮して室内に荷捌き場を設ける場合、天井や柱が干渉してトラックやフォークリフトの動線を確保できないことがあります。当初の計画では問題なくても、事業の拡大によって使用するトラックやフォークリフトが大きくなることも考えられるので、余裕を持って計画するようにしましょう。適切な動線を確保できれば、スムーズに荷役作業を進められます。
繁忙期にスペースが足りない
事業によっては繁忙期と閑散期で保管物の量が大きく異なり、繁忙期の荷捌き場・ストックヤードが足りなくなってしまうケースがあります。このような場合は、普段は動線として使っているスペースを荷捌き場に転換するなどのフレキシブルな計画が有効です。うまく運用できれば荷役作業の効率を大きく向上できる可能性があります。
よくある悩みを解決するには「屋根の設置」が効果的
前節で紹介したよくある悩みを合理的に解決できる方法のひとつが、「屋根の設置」です。ここでは、荷捌き場やストックヤードに屋根を設置するメリットを紹介します。
雨・雪・紫外線から保管物を守る
屋根を設置することで、雨・雪・紫外線による保管物の劣化を防ぐことができます。天候による品質の低下を避けることができるので、安定的な高品質のサービスの提供が可能です。
強風による飛来物から保管物を守りたい場合は、屋根の設置だけでは解決できないケースがあります。その場合は、保管物をシートやベニヤで養生する、四方を壁で囲った建屋に保管するなどの方法がおすすめです。
良好な作業環境を保つ
屋根を設置して作業場を雨・雪・日差しから守ることは、良好な作業環境を保つことにも繋がります。雨や雪による作業効率の低下を防ぐだけでなく、強い日差しを遮ることで熱中症リスクの低減が可能です。
無柱空間でスムーズに作業できる
屋根の素材や形状にもよりますが、屋根のみを設置する場合、内部に柱を設置しない無柱空間を実現できるケースがあります。無柱空間であればトラックやフォークリフトが自由に動くことができ、スムーズに作業できます。
スピーディーな建方・解体で柔軟に対応できる
屋根のみを設置する場合は、通常の建屋と比べて部材が少ないため、スピーディーに建方・解体を行えます。繁忙期や閑散期にあわせて荷捌き場やストックヤードのスペースを調整できるため、事業の状況に合わせた柔軟な対応が可能です。
テント業者がおすすめするソリューション3選
荷捌き場に屋根を設置するソリューションとしておすすめなのが、テント構造物です。テント構造物を採用すると、スピーディーに効果的かつスタイリッシュな屋根を設置できます。ここからは、プロがおすすめするテント構造物をみていきましょう。
上屋テント
上屋テントは、側面が解放されたオープンな構造が特徴です。最大13mの高さまで設計可能なので、フォークリフトのほか、大型トラックやウィング車を乗り入れさせることができます。荷捌き場を雨や雪、紫外線、日差しから守りながらも、無柱空間により快適な作業環境を提供します。
上屋テントのもうひとつのメリットは、設計の自由度が高いことです。通路や建物間のスペースに合わせて形状を決められるだけでなく、作業動線を考慮して柱や出入口の位置を調整できます。さまざまな要望に対応可能なので、設置条件が厳しい場合はプロに相談してみましょう。
一般的な条件であれば、工期は最短で2ヶ月ほどです。繁忙期に合わせて数ヶ月~数年に限定して利用されることもあります。
伸縮式テント倉庫
伸縮式テント倉庫は、あらかじめ設置したレールに沿って伸縮できるテント倉庫です。
テントを伸ばしているときは保管物や作業員を外部環境からしっかり守ることができ、テントを縮めればフォークリフトやトラックが寄り付きやすくなります。また、上部が開放されるため、クレーンによる積み込みも可能。重量物や長尺物などの保管にも適しています。
いつでも手軽に伸縮できるので、保管物の量に合わせてサイズを調整することができます。繁忙期は最大サイズで保管量を増やし、閑散期はコンパクトサイズで外部の作業スペースや動線を確保するなど、状況に応じた柔軟な対応が可能です。
小型伸縮式キャスターテント
小型伸縮式キャスターテントは、完成品での納品により組立工事不要で使用できる簡易的な伸縮式テントです。キャスター付きなので、手軽に移動することができ、また、使用しないときは縮めてコンパクトに収納できます。
「普段は収納して作業スペースを広く確保したい」「繁忙期に簡易的なストックヤードを設置したい」「水に弱い保管物を扱うときに屋根付きの作業スペースがほしい」などの要望に対して痒いところに手が届くソリューションです。
おわりに
荷捌き場やストックヤードにおいて、屋根を大きな役割を果たします。雨や雪、紫外線といった外部環境から保管物の品質を守るだけでなく、良好な労働環境を保ち、生産・安全性の向上を両立させてくれるのです。荷役作業の品質・生産性・安全性といったポイントの強化を考えている場合は、屋根の設置を検討してみてはいかがでしょうか?