工場や倉庫の屋根は、内部の設備・機械や保管物を守るだけでなく、労働環境の快適性にも大きく影響します。強い日差しや雨を防いで働きやすい環境を提供できる屋根の存在は、労働環境の改善を求められている事業者にとって大きな助けになることでしょう。

そこで今回は、工場・倉庫でよく使われる屋根材とそれぞれの特徴について解説します。また、ストラクトが得意とする「膜屋根」の魅力や事例を紹介したいと思います。働きやすい環境を用意して生産性向上を図りたいと考えている方はぜひご覧になってみてください。

工場・倉庫における屋根の役割

さっそくですが、工場・倉庫における屋根の役割は以下のとおりです。
設備・機械・保管物を守るだけでなく、快適な労働環境をつくる上でも重要な役割を果たしているのがポイントです。

屋根の役割

  • 雨・雪・紫外線を防ぎ、設備・機械・保管物を守り、快適な労働環境をつくる
  • 直射日光を避け、熱中症を防ぐ
  • 建物の断熱性を向上させ、空調効率を高める

工場・倉庫で活躍する屋根とは

次に、どのような場面で屋根が活躍しているかをみてみましょう。屋根のみを設置する方法でも前述の役割を十分に果たせるケースが少なくありません。コスト・工期・スペースで悩んだときは選択肢のひとつとして検討してみてください。

①建物本体の屋根

当然ながら、工場・倉庫の建物本体には屋根がありますよね。従来の工場・倉庫の屋根はコスト重視の傾向がありましたが、近年は性能も重視されるようになりました。素材によってはメンテナンスが必要です。頻度・費用を把握しておくことで適切な運用を継続できるようになり、本来の性能を維持できます。

②倉庫・工場を拡張するための屋根

事業が順調に成長してくると工場・倉庫を拡張したくなるケースもありますよね。しかし、建物を新築・増築するとなると時間・コストがかかるだけでなく、工場・倉庫が稼働している隣で建設プロジェクトを進めるという難しい状況が生まれてしまいます。

そこで有力な選択肢になるのが、本体に隣接させて屋根を設置することで半屋外空間をつくる案です。建物を増築するのに比べると、安価かつ短工期で良好な環境をつくることができます。雨や紫外線から従業員や保管物を守るという目的であれば、屋根だけでも十分に役割を果たせるシーンは多いものです。

③一時的な保管場所や荷捌き場の屋根

普段は十分でも繁忙期になると作業・保管スペースが足りなくなってしまうケースも考えられます。そのようなときは敷地内の空いているスペースをうまく活用できたらうれしいですよね。上屋のみであれば小さいスペースでも手軽に計画できるので、一時的な保管場所や荷捌き場を確保するのにおすすめです。

工場・倉庫でよく使われる屋根材

工場・倉庫でよく使われている屋根材は以下の3種です。それぞれの特徴をみていきましょう。

・波形スレート
・折半屋根
・瓦棒葺き屋根

波形スレート

波形スレートはセメントに補強繊維を混ぜて波形に加圧成形した屋根材です。波の幅の大きさによって「大波スレート」と「小波スレート」に分けられています。

耐久・断熱・遮音・耐火性に優れ、安価であるため工場・倉庫の屋根・壁によく使われている建材です。昔の波形スレートにはアスベストが使われていたことから避けられている時期もありましたが、現在はアスベストを使わない製品が増え、人気を取り戻しています。

【波形スレートのメンテナンスの目安】

  • メンテナンス(部分補修など)の目安:5~7年
  • メンテナンス費用:5,000~10,000円/㎡程度
  • 葺き替え:25,000円/㎡程度

折半屋根

折半屋根は金属製の薄板をじゃばらのように折り曲げた屋根材です。商品自体が安価なだけでなく、屋根を軽量化することで建物への負担が減り建設費を抑えることができます。

一方で、断熱性が低い、雨の音が室内に響きやすいといったデメリットがあります。断熱材を吹き付けるなどの方法で断熱性の向上に配慮するほか、屋根の直下には執務空間を設けないなどの工夫が必要です。また、ボルトやボルト孔が錆びることがあるので、定期的に目視で確認するようにしましょう。

【折半屋根のメンテナンスの目安】

  • メンテナンス(塗装など)の目安:10~15年
  • メンテナンス費用:4,000~8,000円/㎡程度
  • 葺き替え:15,000円/㎡程度

瓦棒葺き屋根

瓦棒葺き屋根は、「瓦棒」と呼ばれる角材を一定間隔で並べて葺く屋根材です。瓦ではなく金属製の屋根であり、軽量かつ良好な排水性が特徴です。従来はトタンを使った「トタン屋根」が主流でしたが、現在はガルバリウム鋼板が使われることが多く耐久性が向上しました。

折半屋根と同様に、金属屋根特有の断熱・遮音性の低さといったデメリットがあります。また、角材や板材が錆びることがあるので、目視による確認を行い適切なメンテナンスを続けましょう。

【瓦棒葺き屋根のメンテナンスの目安】

  • メンテナンス(塗装など)の目安:10~15年
  • メンテナンス費用:4,000~8,000円/㎡程度
  • 葺き替え:7,000円/㎡程度

明るく開放的で働きたくなるような空間をつくるには「膜屋根」がおすすめ

最後に、ストラクトが得意としている膜屋根の魅力を紹介したいと思います。

膜屋根の魅力とは?

膜屋根は工場・倉庫の作業性や快適性をアップするたくさんの魅力を持っています。

5つの魅力

  • 室内が明るくなる:膜生地は透過性が高いため、自然光による明るい空間が生まれます。
  • 使いやすい間取り:自由設計の膜構造物は敷地や作業動線に合わせて適切なレイアウトが可能です。
  • 短工期:シンプルな架構と膜生地の施工性の良さから短工期で施工可能です。
  • メンテナンスが不要:膜材は基本的にメンテナンスフリーです。
  • 軽量:膜材は軽量なので建設費の削減や建物の安全性に寄与します。

【膜屋根のメンテナンスの目安】
・メンテナンス:基本的にメンテナンスフリー
・葺き替え:25,000円/㎡程度

事例紹介①:膜屋根で倉庫を拡張

ここからは膜屋根で工場・倉庫の利便性を高めた事例を紹介します。


まずは倉庫の隣に上屋を設置して拡張させた事例です。限られたスペースでの工事でしたが、構造物を上屋のみに限定して基礎を小規模にすることで実現したプロジェクトです。倉庫の隣に屋根付きのスペースをつくることで良好な作業環境を提供しています。

事例紹介②:上屋テントで雨&熱中症対策

こちらは空いているスペースに大規模の上屋を設置し、屋根付きの駐車スペースをつくった事例です。車両を守るだけでなく、清掃時の雨・熱中症対策に役立っています。膜屋根ならではの無柱大空間により大きな車両も扱いやすいスペースを実現しています。

事例紹介③:伸縮式テントで屋外・屋内環境をフレキシブルに切り替え

伸縮式テントは、下部にレールを設置することでジャバラ状のテントを開閉することができる便利なソリューションです。屋根・壁により雨や紫外線だけでなく風も防ぐことができ、生産性・安全性の向上を期待できます。また、テントをたためばクレーンによる保管物の移動が可能になることも他にはないメリットといえます。

おわりに

工場・倉庫の屋根は、内部のモノやヒトを守るだけでなく、労働環境の改善といった観点でも重要性が増しています。屋根付きの建物を用意するとなると負担が大きくなってしまいますが、屋根を設置するだけでも多くの悩みが解決するかもしれません。ご検討の際はぜひお気軽ににご相談ください。