屋根の設置は荷捌き場の物流改善におすすめ|上屋テントで手軽に実現

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はじめに

物流業界では、2024年から施行された労働時間規制により荷待ち時間の短縮や荷役作業の効率化が大きな課題となっており、様々な物流改善手法が試行されています。なかでも荷捌き場や保管所の設備投資でおすすめなのが、屋根の設置です。屋根により天候に左右されない安定した作業環境を確保でき、3M(ムリ・ムダ・ムラ)をなくす効果を期待できます。

そこで今回は、荷捌き場や保管所に屋根を設置することのメリットについて解説します。手軽に屋根を架けられる「上屋テント」についても触れますので、物流改善に取り組んでいる方はぜひご覧になってみてください。

物流改善の基本

まずは物流改善の基本についておさらいしましょう。
物流の要素は、主に以下の7つに分類されます。

  • 輸送
  • 保管
  • 荷役
  • 包装
  • 流通加工
  • 情報ネットワーク

これらの要素のそれぞれについて、「ハード」「プロセス・情報」「人材管理」「輸送」といった物流改善の視点で課題を整理していきましょう。特に近年の物流DXで注目を集めているのが情報ネットワークの分野です。新規性の高い取り組みなだけに現場の対応が追い付かず、効果を感じにくい分野でもあります。兼ねてより政府が導入を推奨してきた「トラック予約受付システム」も改めて価値を問われており、物流業者の声を聞きながらシステムの改良や運用方法の議論を進めているところです。

一方、設備投資の効果を感じやすいのが、「ハード」の更新です。今回ご紹介する屋根の設置はまさにハードの更新であり、3Mをなくし、作業効率を向上させる効果を期待できます。ここからは、屋根の設置による物流改善効果をみていきましょう。

物流現場における荷捌き場の課題

多くの事業所の荷捌き場や保管所で挙げられている課題には、以下のようなものがあります。

  • 天候による作業の中断・遅延
  • 雨・雪による保管物へのダメージ
  • 夏場の熱中症リスク、作業効率の低下
  • 長い荷待ち時間

EC市場の拡大により翌日指定や時間指定の荷物が増え、常日頃から正確かつスケジュール通りに作業することが求められています。また、ECサイトのセールに合わせて繁忙期が訪れ、さらに大量の荷物を正確に仕分けるキャパシティが必要です。

大切なのはイレギュラーのプロセスをなくし、いつでも同じ手順で作業できる体制を整えることです。天候によって作業の中断・遅延が発生したり、保管物の養生作業が発生したりしてしまうと、スケジュール管理が難しくなってしまいます。このようなムリ・ムダ・ムラな対応が様々なプロセスに影響を及ぼして作業効率が低下し、長い荷待ち時間といった望ましくない状況が生まれてしまうのです。

昨今は夏場の猛暑もムラを生む大きな要因のひとつです。暑さで集中できなくなると効率が落ちる他、事故や熱中症のリスクが高まります。2025年から熱中症対策が義務化されたこともあり、作業員への注意喚起を強化するだけでなく、設備を更新して熱中症になりにくい作業環境を整えたいところですね。

屋根の設置による物流改善効果

荷捌き場や保管所に屋根を設置することで、多くの荷捌き場の課題を解決できます。ここでは屋根の設置による具体的な物流改善効果をみていきましょう。

天候に左右されない安定した作業環境

屋根を設置することで天候に左右されにくい安定した作業環境を整えられます。雨・雪が降っても保管物を養生する必要がなく、作業員は雨具を着用せず動きやすい服装で作業できます。雨脚が強いと作業が少しずつ遅れてスケジュールを守るのが難しくなりがちですが、屋根があれば納期遅延の心配が少なくなります。

また、雨が降っていると注意が散漫になって足元にまで気を配れなくなってしまうことが少なくありません。床が濡れていると非常に滑りやすくなるため、転倒事故に繋がります。労働災害の約20%が転倒事故というデータもあるため、屋根の設置で雨天時の転倒事故を防げることもメリットのひとつといえるでしょう*1。

労働環境の改善と作業効率の向上

屋根を設置すると直射日光を遮ることができ、作業員にかかる負荷を減らせます。通気性を確保できればさらにWBGT値(暑さ指数)を下げることができ、猛暑における有効な熱中症対策になるでしょう。2025年の熱中症対策義務化に際して厚生労働省から発行されたリーフレットでは、WBGT値を下げる具体的な対策として屋根の設置が挙げられています*2。

このような快適な環境づくりにより、作業効率だけでなく作業員満足度の向上も期待できます。人材確保のためにも積極的に取り組みたいですね。

トラックの荷待ち時間の削減

前述のとおり、屋根を設置することで天候に左右されない安定した作業環境を確保でき、夏場でも高い作業効率を期待できるようになります。結果的に様々なシチュエーションで計画的に作業を進められるようになり、スムーズな荷役作業でトラックの荷待ち時間を削減できるのです。このような安心感が運送会社との信頼関係を強化し、持続可能な運営を実現します。

3Mを減らせる

物流改善における3Mは、具体的に以下のような状態を表します。

  • ムリ:少ない人員で過剰な作業量をこなしている状態
  • ムダ:マンパワーが余っている状態
  • ムラ:成果や効果が安定しない状態

天候や気温に左右されない安定した作業環境を確保できていれば、大雨・猛暑時でも安定して成果を上げられるようになり、ムラを無くせます。また、適切な人員配置ができるようになることでムリ・ムダが減ります。悪天候による作業の複雑化に伴う必要人員の増加や、事故や熱中症に伴う作業員の補填によるイレギュラーな作業は3Mに繋がりやすいため、ハード面でできるだけ解決しておきましょう。

上屋テントが荷捌き場の物流改善におすすめの理由

ストラクトが扱っている上屋テントは、屋外に屋根を設置する手軽で効果的なソリューションのひとつです。その特徴と物流改善におすすめの理由について解説します。

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上屋テントとは

上屋テントは、鉄骨フレームと膜材料の屋根で構成される構造物です。通常の建物であれば6ヶ月かかるところを2ヶ月で建設でき、コストもリーズナブルであることから手軽に屋根を架けられる構造物として高い需要があります。

少ない柱で大空間に屋根を架けられるため、人や車両が移動しやすいことも物流改善におすすめの理由です。高さ13mまで建設可能なのでウイング車も屋根の下で自由に開閉でき、荷捌き場にぴったりです。既存建物に隣接した位置であれば庇を増設するといった手法も考えられますが、建物から離れたスペースに屋根を設置する際は数少ない選択肢のひとつといえます。

省材料で建設できるため、環境アピールとしても有効な点もうれしいですね。

熱中症対策にも効果的

膜材料は、光を通しやすい一方で、紫外線はカットしてくれます。膜材料によって紫外線カット率は異なりますが、最大で95%カットまで可能です。自然光で明るさを確保して照明電力を削減しながら、直射日光・紫外線をカットして熱中症対策や保管物の劣化予防に役立てることができます。

また、壁がないおかげで良好な通風環境を確保でき、風を感じながら快適に作業できる環境をつくれます。

ワンストップサービスで安心・手軽に導入可能

ストラクトは、ワンストップで企画・設計・施工・アフターフォローまでサポートしています。膜構造物のスペシャリストとして事業に応じて最適な計画を提案しますので、事業主の方は最小限の手間で物流改善に効果的な設備投資を実現可能です。ご検討の際はぜひお気軽にご相談ください。

おわりに

荷捌き場への屋根の設置は、天候対策・作業効率向上・荷待ち時間削減といった様々な効果を期待できる物流改善手法です。冒頭で述べたとおり物流改善は多角的な視点から取り組むことが大切ですが、効果を実感しやすいハード面から改善し、作業員の満足度を高めながら生産性を上げていくのは効果的な戦略といえるでしょう。物流改善のひとつとして設備更新を考えている場合は、屋根の設置を検討してみてはいかがでしょうか。

*1
出所)厚生労働省「雨天時等における滑り転倒予防について」
https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001507681.pdf
*2
出所)厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf

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