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工作物とは?建築物との違いを建築基準法に基づきわかりやすく解説

工作物(こうさくぶつ)とは、人為的に土地に設置された構造物の総称です。
建築基準法では、建築物も工作物の一種として定義されており、煙突・広告塔・擁壁なども工作物に含まれます。
「工作物には建築基準法が適用されない」と思われがちですが、実際には一部の工作物にも建築基準法が準用されます。

本記事では、工作物の定義、建築物との違い、建築基準法との関係をわかりやすく解説します。
また、テント倉庫における「軽微なテント工作物」の扱いについても紹介しますので、建築プロジェクトの計画にお役立てください。

工作物とは?建築基準法における定義

工作物とは、人の手によって土地に設置されたすべての構造物を指す広い概念です。
建築基準法では、建築物(屋根と柱・壁を有するもの)も工作物の一部として位置づけられています。
つまり、「工作物」は「建築物」よりも広い意味を持つ上位概念といえます。

工作物の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 煙突、鉄柱、木柱
  • 広告塔、記念塔、装飾塔
  • 高架水槽、サイロ
  • 擁壁(ようへき)
  • 観覧車、コースターなどの遊戯施設
  • 建築物(住宅、倉庫、工場など)

このように、建築物を含むあらゆる人工構造物が「工作物」に該当します。では、工作物と建築物はどのように区別されるのでしょうか。次のセクションで詳しく見ていきましょう。

建築物と工作物の違い

建築物は工作物の中でも「屋根と柱または壁を有するもの」に限定されます。
つまり、すべての建築物は工作物ですが、すべての工作物が建築物というわけではありません。
この違いが、建築基準法の適用範囲に大きく関わってきます。

建築物とは

「建築物」は、建築基準法において下記のように定義されています。

土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、
これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物(中略)をいい、建築設備を含むものとする。
(引用:建築基準法第2条)

つまり、建築物も工作物の一部であり、簡単に表現すると以下の条件を満たすものということです。
【建築物の条件の一部】
・土地に定着する
・屋根および柱もしくは壁を有する

建築基準法は、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準」を定めた法律です。よって当然のことながら、上記で定義される「建築物」は、建築基準法に準拠する必要があります。

建築物と工作物の違いまとめ

建築物と工作物の関係を整理すると、以下のようになります。

  • 工作物:人為的に土地に設置されたすべての構造物(上位概念)
  • 建築物:工作物のうち、屋根+柱または壁を有するもの → 建築基準法が適用
  • 準用工作物:建築物以外の工作物のうち、一定規模以上のもの → 建築基準法が準用
  • その他の工作物:上記に該当しない小規模なもの → 建築基準法の適用外

準用工作物とは

建築基準法は「建築物」を対象にしているので、建築物以外の「工作物」は基本的に対象外です。
しかし、以下に示す一部の工作物は、建築基準法の準用が求められています。これらの工作物は、「準用工作物」と呼ばれることもあります。

【準用工作物】
・高さ6mを超える煙突
・高さ15mを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これに類するもの(旗ざおを除く)
・高さが4mを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これに類するもの
・高さが8mを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これに類するもの
・高さが2mを超える擁壁
・乗用エレベーターまたはエスカレーターで観光のためのもの(一般交通の用に供するものを除く)
・ウォーターシュート、コースターその他これに類するもの
・メリーゴーランド、観覧車、オクトパス、飛行塔その他これに類する回転運動をする遊戯施設で原動機を使用するもの
(引用:建築基準法第88条、建築基準法施行令第138条)

テント倉庫は建築物?工作物?

テント倉庫は、「土地に定着し、屋根および柱もしくは壁を有する工作物」なので、基本的には「建築物」の一種です。
そのため、建築基準法に則って設計・施工を行い、確認申請や中間・竣工検査といった手続きを踏む必要があります。

軽微なテント工作物とは

一方、「テントの取り外しが容易で規模も常識的に小さなもの」については、国土交通省が「建築物として扱わない」という見解を出しています。
建築物として扱われないテント構造物は「軽微なテント工作物」と表現されており、以下のような条件に当てはまるものです。

【軽微なテント工作物の条件】
・テント製の簡易な巻き上げ、軒出し
・キャンプ用テント、運動会用テント等の一時的な使用を目的としたもの
・軽微な温室、軽微なキャスター付きテント
・軽微でかつ、開放性が高く、居住、執務、作業、集会、娯楽、物品の陳列保管その他の屋内的用途に使用することを目的としないもの

軽微なテント工作物は、建築物として扱われないので、建築基準法に準拠する必要がなく、確認申請、中間・竣工検査などの手続きが不要です。

軽微なテント工作物のメリット・デメリット

軽微なテント工作物は、建築物として扱われないため、手軽に扱うことができます。
一方、軽微なテント工作物の定義や条件を原因とするデメリットがあることも事実です。
ここでは、軽微なテント工作物のメリット・デメリットをみてみましょう。

軽微なテント工作物のメリット

建築基準法の適用外、建蔽率に含まれない

軽微なテント工作物は、建築基準法に準拠する必要がないため、細かい基準に縛られる必要がありません。
また、その面積は建蔽率に含まれないので、敷地の建蔽率を使い切っており、新しい建築物を計画できない場合でも設置できます。

組立て・片付けが容易、導入スピードが速い

軽微なテント工作物は、組立て・片付けが容易である製品が数多く提供されています。
これらの製品は導入スピードが速く、必要になったときに素早く設置できます。
運動会などの組立てテントや完成品が納入されるキャスターテントのように、専門スタッフが不要でいつでも手軽に設置できることがメリットです。

不要なときは格納できる、雨天時の雨除けにも適している

組立てと片付けが簡単にできるので、不要なときは格納するという運用が可能です。
例えば、雨の日にはテントを設置して雨除けとして利用し、晴天時は格納して広いスペースを確保するといった使い方ができます。
繁忙期と閑散期にあわせて運用を変えることもでき、フレキシブルな対応が可能なソリューションです。

軽微なテント工作物のデメリット

強風時は使用が難しい

軽微な工作物は、土地に定着していないため、強風時は柱に重りを縛り付けるなどの対応が必要です。
それでも台風のような暴風に耐えることは難しく、事前にテントを片付けなければいけないケースもあります。
強風のときにも使用を継続したい場合は、土地に定着するテント構造物(建築物)を検討しましょう。

大きなスペースはつくれない

軽微なテント工作物の定義が「テントの取り外しが容易で規模も常識的に小さなもの」となっているため、大きなスペースをつくることはできません。
具体的な面積や規模は示されていないため、事前に建築主事などに確認するようにしましょう。

屋内用途には使えない

軽微なテント工作物には、「軽微でかつ、開放性が高く、居住、執務、作業、集会、娯楽、物品の陳列保管その他の屋内的用途に使用することを目的としないもの」という条件があります。
つまり、壁を設置して屋内を居室のように使うことは、基本的に認められていません。

「軽微なテント工作物」として扱われるテント

軽微なテント工作物は、条件はあるものの、手軽に扱うことができ、柔軟な対応が可能なソリューションです。
では、具体的にどのようなテントが「軽微なテント工作物」として認められるのでしょうか。
ここでは、軽微なテント工作物の具体例を紹介します。

組立てテント

組立てテントは、運動会やイベントなどで設置される柱と屋根で構成されるテントです。組立て作業は必要ですが、専門スタッフではなくても簡単に組み立てられます。

オーニング

オーニングは、日除けや雨除けを目的に設置される庇です。一般的には、巻き取り開閉ができる可動式テントが採用されています。建物に取り付けるタイプや、柱を設置する独立タイプなどがあります。

キャスターテント

キャスターテントは、伸縮可能かつキャスターで移動できる可動式テントです。トラックなどで完成品が搬入されるため、組立て作業が不要ですぐに使えます。
キャスターで簡単に移動でき、縮めればコンパクトに格納できるため、さまざまな場所で使う場合や、頻繁に設置・格納を繰り返す場合におすすめです。

おわりに

工作物とは人為的に土地に設置されたすべての構造物を指し、建築物はその中でも屋根と柱・壁を有するものです。
建築基準法が適用されるかどうかは、「建築物」「準用工作物」「それ以外の工作物」のどれに該当するかで決まります。

軽微なテント工作物は、建築物として扱われないため、建蔽率に影響せず、確認申請も不要で手軽に設置できます。
必要なときにすぐスペースを増やせる、不要なときは片づけられる、そんなアイディアを探している方は検討してみてはいかがでしょうか。

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