壁がないからこそ使いやすい上屋テントの魅力とは?
作業性・経済性・安全性を高める理由を解説
本記事では、壁がないからこそ生まれる上屋テントのメリットについて解説します。「施設を拡張したいけど大きな建物を用意する余裕はない・・」といった悩みを抱えている方は、ぜひ参考になさってください。
壁がない構造物「上屋テント」
上屋テントは、鉄骨フレームに膜材を組み合わせて屋根を架ける構造物です。壁がないので視界が開けており、出入りのしやすさや通気性にも優れています。また、大型車両の乗り入れにも対応できるため、工場や倉庫の保管スペースや荷捌き場の施設としても使いやすいのがメリットです。
上屋テントの特徴
工場や倉庫においては、作業性向上が大きなメリットといえるでしょう。人や車両の出入りがしやすく、動線計画を立てやすいので作業をスムーズに進められます。また、風通しがよい屋根の下で作業できるため、熱中症対策として有効であることも魅力です。
一般建築物やテント建築物との比較
ここで、工場や倉庫の施設を一般建築物・テント建築物・上屋テントでつくったときの性能比較をみてみましょう。
項目 | 一般建築物 | テント建築物 | 上屋テント |
---|---|---|---|
構造種別 | 鉄骨造 鉄筋コンクリート造 木造 |
膜構造 | 膜構造 |
工期 | × | 〇 | 〇 |
コスト | × | 〇 | 〇 |
開放感 | × | △ | 〇 |
採光 | × | 〇 | 〇 |
通気 | × | × | 〇 |
狭小地対応 | × | × | 〇 |
大型車の乗り入れ | △ | △ | 〇 |
移設・解体のしやすさ | × | 〇 | 〇 |
断熱性 | 〇 | △ | × |
高層化 | 〇 | × | × |
上屋テントは外部空間に近いため、採光・通気に優れ、開放的な空間をつくることができます。人と物が自由に出入りしながら快適な環境で作業できるのがうれしいですよね。一方で、高層化したり断熱性能を高めたりするのは難しいのがデメリット。小さいスペースにも設置可能、移設・解体がしやすいといったメリットを生かし、手軽に作業スペースの利便性を高めたいといったニーズにぴったりの建築ソリューションです。
建築基準法上の扱い
上屋テントは原則的に建築基準法上の「建築物」として扱われます。そのため、建設時には建築確認申請が必要です。膜構造の技術的基準を定めている国土交通省告示666号が適用されるため、専門家と相談の上、設計・申請を進めましょう。なお、国土交通省告示667号はテント倉庫を対象に緩和措置が定められているため、上屋テントに適用することはできません。
上屋テントの透光性や日射遮蔽といった性能は膜材によって大きく異なります。基準に当てはまるもののなかから、理想の作業環境を実現できる膜材を選定することが大切です。専門家のアドバイスを参考にしながら最適な膜材を選びましょう。
壁がないからこそ得られる4つのメリット
上屋テントは、壁がないことにより以下のようなメリットを享受できます。
1. オープンな車両動線で作業効率がアップする
上屋テントは、高さ13mまで設計できます。そのため、大型トラックが自由に乗り入れられるだけでなく、ウイング車の開閉にも対応可能です。フォークリフトもドアを介さず出入りできるため、保管スペースが上屋テントの外にあっても、荷下ろしした保管物をスムーズに運べます。オープンな車両動線が整えられることで、荷下ろし・積み込みの時間が短くなり、生産性向上を期待できるでしょう。
2. 良好な視界で安全性が高まる
上屋テントは中と外の視線が通るため、人や車両の出入りを把握しやすく、接触事故のリスクを軽減することができます。安全性を高められることは、安全第一の事業施設においては何よりも重要なメリットといえるでしょう。
また、作業中に仲間の状況を確認しやすいことも安全性を高めるポイントです。調子が悪そうな作業員を早いタイミングで発見することができれば、大事に至る前に休憩などの対応を取ることができます。2025年に義務化された熱中症対策では、「見つける、判断する、対処する」といった3ステップが基本的な考え方とされており、様子がおかしい作業員を早期に発見できる環境づくりが重要です。
3. 風が通りやすく熱がこもりにくいので熱中症リスクを低減できる
前項では熱中症になりかけている作業員を見つけやすいことをメリットとして挙げましたが、上屋テントは熱中症になりにくい環境づくりにも有効です。
熱中症予防に有効な対策のひとつが「WBGT(暑さ指数)」の低減です。WBGTを低減するには、直射日光や周囲の壁面・地面からの照り返しを遮ることができる屋根を設けることが有効とされています。上屋テントはWBGTを低減するソリューションとしてぴったりの構造物といえるでしょう。
また、風通しをよくして湿気がこもらないようにすることも熱中症対策に有効です。この点においても、壁がなく風が通る上屋テントは適しています。周囲を散水したり、ミストファンを設置したりすることでさらに涼しさを感じられるようになるでしょう。
4. コストを抑えながらすばやく事業を拡大できる
上屋テントやテント倉庫は、少ない材料で建設できるため、一般建築物と比べてコストを抑えながらすばやく建てられます。事業環境の変化にスピーディーに対応できるのは、膜構造物ならではのメリットといえます。移設・解体のしやすさから、繁忙期と閑散期の施設の転換への対応も容易です。
また、上屋テントは自然と光や風が入ってくるため、照明・空調・換気設備を減らすことでき、ランニングコストの削減にも有効です。
上屋テントを使用する際の注意点
ここでは上屋テントを使用する際の注意点をご紹介します。いずれも専門家に相談しながら解決していきましょう。
狭いスペースに設置する場合は早期の相談がおすすめ
上屋テントは、シンプルな構造なので基礎が小さく、狭いスペースにも建てやすいのがメリットです。しかし、それでも隣接建物が近すぎると対応が難しいかもしれません。特に、周囲に高層建物がないような地域では想定風速が大きくなり、基礎が大きくなる傾向があります。狭いスペースに上屋テントを設置しようと考えている場合は、早めに専門家に相談しましょう。
セキュリティに配慮が必要
上屋テントはオープンな構造なので基本的に施錠ができません。保管物などを守るためには、防犯対策として柵や監視カメラ、人感センサーアラームなどを活用するのがおすすめです。機密性が求められたり貴重な物品を保管したりする場合は、テント倉庫を併設して使い分けるなど、用途に応じた使い方を推奨します。テント倉庫であれば、膜材の透光性により上屋テントと同様の明るい作業空間をつくれます。
まとめ
上屋テントは、壁がないことによって生まれる開放感と機能性を最大限に活かした建築ソリューションです。作業効率・安全性・経済性といった多方面にメリットをもたらし、工場・倉庫の足りない部分を補う構造物として注目されています。ストラクトには上屋テントの使い方をアドバイスできる経験豊富なスタッフが揃っていますので、お気軽にご相談ください。
