テント倉庫の建設プロセスをわかりやすく解説!

生産物流拠点として人気を博しているのが「テント倉庫」です。「テント」と聞くと簡易的な建屋を想像する方が多いかもしれません。しかし、生産物流倉庫として使うテントは、施工・解体の手軽さはイメージのままに、地震・雪・風にも負けない最適なスペースを提供する効率的な建屋です。

この記事では、はじめてテント倉庫を手掛ける方でもわかりやすいように建設プロセスを解説します。
専門知識がないと難しい行政対応などもまとめて引き受けてくれる一貫体制についても触れるので、参考にしてみてください。

はじめに、事業主がテント倉庫の建設プロセスを把握するメリットを紹介します。
建設をテント業者に一任することもできますが、建設プロセスに携わることでコストを管理しながら理想の倉庫を実現しやすくなります。

安心してプロジェクトを進められる

倉庫建設は、通常の鉄骨造で1年程度、短工期が魅力のテント倉庫でも約4~5ヵ月にわたります。数週間~数ヶ月ごとに設計・施工のフェーズが移行していくなかで、いつ何をすべきかを前もって把握しておけば、意思決定や作業のスケジュールを立てることができます。

理想の倉庫を実現するためには、使用用途・目的を明確にして運用のイメージをテント業者と共有することが重要です。優れたテント業者には経験豊富なベテランスタッフが在籍しており、建設プロセスのステップに応じてイメージを形にする適切なサポートをしてくれます。

適切なタイミングで要望を伝えられる

前述のとおり、理想の倉庫を実現するためには倉庫の理想像をテント業者と共有することが大切です。建設プロセスが進むにつれてそのイメージは具体的になっていきますが、各ステップで最低限伝えておかなければいけない要望は決まっています。

例えば、テント倉庫の用途、運用方法、内容物や、設置予定の設備などは、設計の初期段階で共有しておくべき内容といえます。詳細な設計が始まったあとにこれらの大幅な変更が生じると大きな手戻りが生じ、対応が難しくなってしまうためです。

このように、「いつまでに何を決める」というのは建設において非常に大切なことです。建設プロセスを把握しておけば適切なタイミングで要望を伝えられるようになるので、理想の倉庫に必要な要素をしっかりと盛り込めるようになります。

コストマネージメントをしやすくなる

多くの方にとって倉庫建設で最も気になるのは「コスト」ではないでしょうか。

建設工事では、建設プロセスのステップに応じて一定の精度の見積もりを行います。ステップが進むにつれて見積もりの精度が上がっていきますが、初期段階ではある程度の誤差を許容しなければいけません。

建設プロセスを把握していると、いつ頃、どの程度の精度の見積もりを受け取れるのかを知ることができます。コストマネージメントが容易になり、オプションの採否検討をしやすくなるのがメリットです。

また、テント倉庫のコストで重要な要素のひとつが「基礎工事」です。建築物に当たる大型テントには上部架構を支える基礎架構が必要になります。基礎架構の設計は上部架構だけでなくテント設置場所の地盤状態によって左右されるため、コストの算出には時間を要します。基礎工事が高額になるケースもあるため、概算を受け取れる時期を把握しておくことでコストマネージメントをしやすくなるでしょう。

建設プロセスを全体的にサポートしてくれる一貫体制とは

一貫体制を取っているテント業者であれば、すべての建設プロセスを一貫してサポートしてくれます。専門知識がないと難しい行政とのやり取りや使用開始後のメンテナンスもサポートしてくれるため、安心してテント倉庫の建設を進められるでしょう。また、窓口が一本化され、さまざまな業者とやり取りしなくてよいのも一貫体制のメリットです。

テント倉庫の建設プロセス

ここからはテント倉庫の建設プロセスを「基本計画(ヒアリング)」「基本設計」「実施設計」「施工」「アフターケア」の5ステップに分けて紹介します。事業主として特に大切なのは、「基本計画」「基本設計」「実施設計」です。適切なタイミングで要望を伝えられるように準備よく進めましょう。

基本計画(ヒアリング):相談・現地調査・超概算見積(約2週間)

はじめに行うのが「基本計画」です。

事業主が思い描く使用用途・目的・コンセプトなどに基づき、営業担当者がテント倉庫の商品を紹介してくれます。この段階ではそこまで具体的なイメージを持っていなくても問題ありません。テント業者のベテランスタッフが話を聞きながら事業に合ったテント倉庫を提案してくれるので、気軽に相談してみるとよいでしょう。

テントの種類や規模によってコストが異なります。テント業者によってはこのタイミングで「超概算見積もり」を提示してくれるので、大まかなコスト感を掴みながら事業計画を検討できます。次の「基本設計」で具体的な調整を行うためにも、この段階からコストを把握しておきましょう。

基本設計:企画・デザイン・概算見積(約2週間)

「基本設計」はヒアリングに基づいて実現可能なプランを検討するステップです。自由設計が得意なテント業者であれば、事業主の独自要件に合わせて好みの倉庫をデザインできます。建設だけでなくテント倉庫の運用にも詳しいベテランスタッフと設計を進めることで使いやすい倉庫を実現可能です。

オプションや外構の仕様ついてもこの段階で決定するのが一般的です。
なかでも、設計に関わるような仕様については基本設計段階で必ず伝えておきましょう。
例えば、防犯対策は機器の設置だけでなく運用を見越した設計が必要になるため、早めにテント業者と共有しておくことをおすすめします 。

原則的には、基本設計段階で決めたテントの仕様やオプション、外構の内容で契約を結ぶことになります。このとき、コストを大きく左右する基礎形式の不確定要素を明らかにするため、必要に応じて地盤調査を行うのが一般的です。地盤調査は行政の建築確認のためにも重要であり、実施する際は別途契約・費用が必要なことに留意しておきましょう。

実施設計:敷地調査・設計(約8週間)

「実施設計」は計画段階の最終ステップです。テント業者は今までのヒアリングをもとに意匠・構造・設備の詳細設計を行います。
実施設計が始まると、オプションの採否をはじめとした必要決定事項が増えていきます。テント業者と密に連携を取り、必要事項をしっかりと共有することが大切です。
実施設計の最後には、設計図書と最終見積もりが提示されます。要望が設計内容やコストから漏れていないかを確認しましょう。設計図書や見積書の読み取りが難しい場合は、テント業者に説明の場を設けてもらうことも可能です。
設計図書と最終見積もりの内容に合意できれば工事契約を結びます。

また、着工前には行政の建築確認を受けなければいけません。設計図書や構造計算書などを審査される手続きであり、専門的な知識が必要です。一貫体制のテント業者であれば建築確認の手続きをすべて代行してくれることが多いので安心感があります。

製造・施工・納品(約8週間)

契約を結び建築確認を終えるといよいよ製作段階です。工場でテントを製作し、現場で建て方を行います。

基本的にはプロに一任するステップですが、希望があれば工場や現場を見学させてくれる業者もあります。引き渡し前に実物を見ながら図面どおりに製作・施工されていることを確認できる機会です。また、「追加でオプションを頼みたい」「ここのキズが気になる」など、気づいたことがあれば対応を依頼できます。テントだけでなく、「現地を見たら周辺道路の劣化が気になった」というような場合でも対応してもらえるケースがあるので、相談してみてください。

施工が完了すると、行政の完了検査の後、引き渡しになります。
完了検査は設計図書と竣工建物に相違がないかを確認する場で、建築確認と同じく専門的な知識が求められます。一貫体制のテント業者であれば完了検査の立ち合いも行ってくれるケースが一般的です。

アフターケア

テント倉庫は使用していると外部環境によって膜面の劣化などが起こります。その他にも、部材の破損や設備機器の不具合など、専門家のサポートが必要になることがあるかもしれません。一貫体制のテント業者なら、依頼をすれば使用状況の確認、劣化診断、膜面の張り替え、緊急時の対応までトータルサポートしてくれます。一貫体制のテント業者でない場合は、テント・基礎・設備など、各工事の窓口を事前に確認しておくことをおすすめします。

おわりに

テント倉庫は約4~5ヵ月で使用を開始できるスピーディーなソリューションです。流行の変遷への素早い対応が求められる物流生産施設の多くの課題を解決できるかもしれません。テント業者には運用のアドバイスもできるベテランスタッフが在籍しているため、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

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